シュラスコ料理って知ってるかい? 近頃町じゃウワサのブラジル産食い放題焼き肉料理なのだ。サッカーブームと食べ放題のブームにのって登場したこの肉食料理を食べに行こうという発案はサイ姫からなされたものであった。
当日盛大な肉の奪い合いが展開されるだろうと、会場の銀座コマツストア別館地下の「バッカーナ」にエントリーした動物はサイ姫、ケロ、タニシ、フクロウの4名。予想に反して生存競争も激烈ではない模様、そのうえ店内は閑散としてブラジル人のオニイサン、オネエサンの店員さんも手持ちぶさた。ただただ肉焼き窯ではグルグルと串(とは言えず刀といったほうがよいシロモノ)に刺されたいくつもの肉が不気味にあぶられていたのであった。
フクロウが伝え聞いた前評判では、串刺し焼き肉を持った給仕人が現れては、巨大な肉のまわりのあぶられた部分だけを各自の皿の上に切り落としていき、その肉切れを食べ終えたと思うとまた給仕人が現れ、肉を投下し、またやっとの思いでそれをかたづければ、また肉が投下されるという、恐ろしいギリシャ神話か仏教の悟りの境地かという究極の食べ放題料理だとか。それに挑戦できるのはサイ姫はじめとした「食欲の鬼」のわてらしかいないんやー。
テーブルの上には巨大サラダボール、ブラジル風揚げギョーザ、数々のサルサ、ピクルス状のものと満艦飾になっている。動物たちの前に肉刺し刀を持ったブラジルボーイが現れ、「牛ロース」「牛ノカタニク」「牛ノコブニク」、肉の種類を説明しながらよーーく切れそうな刀で肉片をそぎおとしていく。 「ワ、ワタシ、イリマセン」とでも言おうものならその途端刃がこちらに向かってこないとも−−−.
(つづく)